クリニックの停電対策|発電機が必要な医院・不要な医院【非常用電源の設計基準】

設計事務所様向け:医療機関の停電対策設計

クリニック・研究施設など医療施設では、
バックアップ対象機器や運用方針により必要電源容量が大きく変わります。

医療機関の用途別に、非常用電源構成の考え方を整理しています。

クリニックで停電対策が必要な理由

新規開業クリニックでは、サーバーの構築などでUPSを含む非常用電はほぼ標準化しています。
電気設計上は安全率を見込み、想定最大負荷の1.2〜1.5倍程度で容量を確保するケースが一般的です。

一方で、外来型クリニックでは停電時の運用を限定する前提を置くことで、必要容量が大きく変わることがあります。

ここでは、設計段階で整理すべき判断基準を示します。

クリニックでバックアップすべき設備

設計段階で「守る回路」を確定する。

主な「守る回路」の対象

  • 電子カルテサーバー/ネットワーク機器
  • 薬用冷蔵庫、超低温フリーザー
  • 最低限の照明・受付系統
  • 検査機器(有無・同時使用想定)
  • 200V機器の有無

ここを曖昧にしたまま容量算定すると、過大設計になりやすく、導入コストも高くなります。

発電機が必要になるクリニック

以下の条件に該当する場合は、自家発電のような大容量の発電機が合理的です。

  • 24時間稼働前提
  • 人工呼吸器・透析機器など生命維持系あり
  • 入院設備あり
  • 夜間救急対応
  • 長時間停電リスクが高いエリア

これらの施設では停電時も通常運用に近い状態を維持する必要があるため、バックアップ容量は常用負荷に近い値での設計が求められます。

発電機が不要になるクリニック

外来中心(無床)の場合、以下の前提が成立することが多い。

  • 停電時は診療室を1室のみ稼働
  • 検査機器は停止
  • 照明は最小限
  • ワクチン冷蔵庫を最優先

この場合、通常負荷の半分以下になるケースもあります。

外来クリニックの電力容量の目安

例:受付周り、診察室+α(バックヤード)

機器想定出力
電子カルテ+ネットワーク通信機器約500W
薬用冷蔵庫約300W(突入考慮)
最小照明約800W
受付・通信約300W

概算:約2kW前後

この場合、5kWクラス発電機が必須かは再検討余地があります。
突入電流と同時使用前提を精査することが重要です。

設計段階で決めるべき4つのポイント

① 回路分離

バックアップ回路を明確に分ける。
後付けでは対応困難。

② 分電盤構成

将来増設の余裕を持たせるか。

③ 200V機器の扱い

バックアップ対象外とするのか。

④ 突入電流の確認

冷蔵庫やモーターが搭載されている(コンプレッサー)機器は要確認。始動電流を考慮する必要あり。

UPSの役割については

6. まとめ

非常用電源は「容量の問題」ではなく、
停電時の運用前提をどこまで設計段階で固定できるかが鍵になります。

発電機が過剰になるケースもあれば、不可欠なケースもあり、重要なのは、設計初期段階での整理です。

設計事務所様へ

発電機前提か否かの判断材料など、図面段階での容量検討・バックアップ回路整理などの確認など、まずはご相談ください。