不妊治療の停電対策は“何を守るか”で設計が変わる
不妊治療の停電対策は、設計思想によって大きく二つに分かれます。
① 培養室全体を維持する設計
クリーンベンチ、倒立顕微鏡、周辺機器を含め、通常業務を継続できる環境を確保する考え方です。
② インキュベーターを最優先とする設計
作業は中断できるという前提のもと、培養中の胚を守ることに電源を集中させる考え方です。
クリーンベンチ作業は停止したとして、チャンバー内の培養を止める事は避けたい。
最優先は、インキュベーター庫内の温度およびガス条件の維持です。
どこまでをバックアップ対象とするかは、診療体制とリスク許容度によって決まります。
タイムラプス導入で守る対象は「庫内」を維持する条件
不妊治療の停電対策は、機器からではなく維持すべき条件から整理します。
| 維持すべき条件 | それを担う機器 |
|---|---|
| 37℃の維持 | タイムラプス・インキュベーター ドライインキュベーター |
| CO₂濃度の制御 | インキュベーター ガス制御装置 |
| ガス供給の安定 | ガス制御装置 |
| 撮影・データ保存 | タイムラプス サーバー 監視機器 |
条件に合わせて機器を絞り込み、庫内を維持に直結する機器のみをバックアップ対象とする事で、タイムラプスを優先とした設計となります。
タイムラプスを維持するための設計
タイムラプス装置をバックアップ対象とする場合、設計は二軸で考えます。
「蓄電池+UPS」の組み合わせ設計が基本となり、単に容量を増やすだけでは不十分であるからです。
1. 必要容量(長時間停電対策)
消費電力と想定バックアップ時間から、蓄電池容量を算定します。
2. 瞬断対策(電源品質対策)
数秒の電源断でも内部条件は変動するため、UPSによる瞬断対策が前提条件となります。
とはいえ、タイムラプス導入時にUPSも導入しているケースが多いので、UPS込みで蓄電池容量を算定する事で解決します。
設計例
構成例:
タイムラプス+サーバー+UPS:700W
ドライインキュベーター:300W
ガス制御装置:200W
合計:約1,200W
バックアップ容量は消費電力 × バックアップ時間 で決まります。
1,200W × 2時間 = 2,400Wh以上
2時間を想定する場合:
B8(11,040Wh)なら 約7時間
※ 実際のバックアップ時間は同時稼働負荷・突入電流・劣化率を考慮して試算します。
実測データから見たバックアップ時間
インキュベーターは庫内温度が安定した後、消費電力が大きく低下する特性があります。
当社で実測したデータでは、理論値よりも長時間のバックアップが可能であることを確認しています。
B8(11,040Wh)なら 約7時間 → 約28時間
容量設計は、スペック値だけでなく実測データを踏まえて行う必要があります。
設計で決めること
・何を守るか
・何時間を想定するか
この二点が明確になれば、必要容量は定まります。
よくあるご相談
・バックヤードや倉庫に設置できるか
・UPSがなく瞬断対策をしていない、もしくは既存UPSと併用できるか
・テナントビル、既存設備に後付けできるか
・レンタル対応は可能か
容量試算・構成検討は無料で承ります。
不妊治療クリニックにおける非常用電源・蓄電池の導入事例をまとめています。
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